<第5回>神無月、神在月
一心敬礼
神無月(かんなづき)の候。とても清々しい陽気となってまいりました。私しが在住します飯能では、好天の深夜早朝などに夜空を見上げますと、満天の星がところ狭しと輝きます。中でもオリオン座が大きくハッキリわかります。今年は例年になく酷暑猛暑日が続きましたが、冬の訪れも意外と早いのかも知れませんね。
神無月(かんなづき・かむなづき・かみなしづき)とは陰暦10月の異称で(かみなづき)の音便ですが、別に神去り月ともいわれます。名称の由来は多々ありますが、一般的に云われていますのが、10月には日本国中の神々が出雲(島根県)大社に集まるため、その他の国の神様が不在となるため、「神無月」(その逆に出雲では「神在月(かみありつき)」というそうです)と云われています。
また面白いことに、このコーナー(釈正輪のコラム)が始まったのが6月でした。6月のやまと言葉は「水無月」ですね。または「雷鳴(みな)月」とも言います。10月は、雷の声が収り果つるゆえに「雷無(かみなし)月」とも云われるそうですが、この時期になりますと、どこに行っても日本国中秋の収穫を祝う秋祭りが盛んにおこなわれます。(村の鎮守の神様の、今日はめでたい秋祭り、ドンドンヒャララドンヒャララ、ドンドンヒャララドンヒャララ朝まで聞こえる笛太鼓)。
さて、昨今、日本を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。経済繁栄してきた日本国に陰りが見えはじめてきました。原因はさまざまでしょうが、私は、一番の原因は、日本国民が元気を無くしたことだと思います。御神仏様を敬い、御先祖様に感謝し、美しき日本国(日本の風景や四季折々の叙情、更に日本人の和心「礼節を重んじ、調和を愛する魂」)に生まれ育ったことに対する慶びが希薄になったからだと想えてなりません。
皆様は、日本国の祝祭日には国旗を掲げておられますか、国歌を敬唱 されてみえますか。日の丸を掲げ、国歌を歌うことに、強いイデオロギーの反発を買うような世の中に、真の発展がありましょうか。経済大国と成り得た祖国で、多発する凶悪犯罪、自殺者の増加等が跋扈する現在、日本人の誇り誉れを取り戻しませんか。
日本国は本当に素晴らしい、日本人の精神性も素晴らしいのです。この国にはさしたる資源はありませんが、知恵があります。しかもそれは利己主義からの発想ではなく、他利の思想からなる技術なのです。「温故知新」伝統を継承しながらも、「世の中のためになる」斬新的な開発が出来る国であり国民なのです。何世紀にも及ぶ日本の伝統品でさえ、当時のものはそのまま残しつつも、新たな技法により、時代に合ったものづくりをするのです。最後に最近の日本的革新技術を、私が知る限りで御紹介いたしましょう。
トヨタ自動車は短期間で、売上高10兆円規模世界一の大企業となった。ハイブリットは自動車産業に革命をもたらし、人工知能の分野と、金融経済、技術者養成に進出。また近々日産自動車・三菱自動車はいち早く電気自動車の技術を市販する。ホンダは自動車のみならず、小型ジェット機、人型ロボットの開発に取り組んだ。東芝エレベーターは世界最速と安全性が高いのが誇り。三菱重工業と三菱航空機は国産初の小型ジェット機MRJ(三菱リージョナルジェット)を開発。三菱重工業のH2Aロケットの成功率が非常に高くなった。
家電では、パナソニック、ソニーが絶えず革新的技術を市販し、シャープの太陽光発電電池の中でも、色素増感太陽電池は追従を許さない。また医療の分野では、東京女子医科大学の研究チームの細胞シートは、心臓を再生したり、火傷の跡が消える。先端生命医科学研究所では、ロボット技術を駆使し、人間型ロボットやアンドロイドを開発中。化粧品関係では、資生堂やマンダムが世界的シェアを伸ばし、富士写真フィルムでは、フィルムから養ったナノテクノロジーにより、化粧品分野へと進出。
一般家庭用品では、尿漏れ対策用のオシメ兼用パンツ。映像では、アニメーションやテレビドラマの日本のクリエイティビティーが高い。ミサイルをコントロールできるほどの半導体分野をビジネス、パーソナルユースにした家庭ゲーム、ナビゲーションシステム。更に、新幹線鉄道技術、造船技術は鉄文化日本国日本民族の象徴。そしてまもなく完成する、600㍍以上の未知の領域に挑戦した東京スカイツリー等まだまだ数え切れない技術の宝庫なのです。
世界に君臨するアングロサクソンは「ルーラー」という支配層を作り、実力者のみ独占しますが、日本人はみんなで話し合いをする協調性を重んじます。それが先人先輩を敬う年功序列になりました。それら全ては神様仏様の前ではみな平等な「和」の精神があるからなのです。
合掌
釈正輪老師のプロフィール
1959年愛知県一宮市生まれ。正眼短期大学宗教学部禅学科卒業、佛教大学文学部佛教学科中退。梶浦逸外(かじうらいつがい)「臨済宗妙心寺派官長・正眼寺住職師家・正眼短期大学学長」、大森曹玄(おおもりそうげん)「高歩院住職・花園大学学長・鉄舟会師家」、黒田武志(くろだぶし)「横浜善光寺開山・留学育英僧会会長」、李西蓊大宗正(りさいおう)「曹渓宗白羊寺官長・高麗寺官長」の四大老師に師事、禅(臨済宗・曹洞宗)・真言・天台の三宗を兼学する。中部の霊峰高賀山で「千日回峰行」(せんにちかいほうぎょう)を達成、大阿闍梨(だいあじゃり)となり、密教の荒行「入水往生」(じゅすいおうじょう)並びに山岳回峰「六社巡り」を復興、25年間に渡り継続する。しかし形骸化した僧界に疑問を抱き、普遍的根源を求め、世界宗教の聖地巡礼を行う。中でもヨルダン川での洗礼や、イスラームの聖地、マッカ大巡礼は偉業と言われている。更に、マザー・テレサの信仰実践とダライ・ラマ十四世の宗教的覚醒に 触れたことが、宗教活動に大きな変化をもたらした。世界の皇室関係者や国家元首をはじめ、宗教指導者との交流も深く、特にスリランカ大菩提会会長バナガラ・ウパテッサ大僧上とは旧友の仲である。高校で教鞭をとり、天台寺門宗本山布教師等を経る。日本国並び日本人の生き方を提唱、再認識し実践とする日本大僧伽(やまとだいさんが)主宰。教育施設MAO塾経営。NPO希望塾相談役。国際地球環境大学(シンクタンク)文学博士・仏教学名誉博士。
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